読書 「死神の選択」

最初の数行で引き込まれた作品は、久しぶりでした。

本作は、第5回「暮らしの小説大賞」受賞作です。
受賞作ということで、逆に敬遠する人がいるかもしれません。
また、テーマが重いことで手を伸ばしづらい人がいるかもしれません。
でも、まずは手に取って読んでみることをお勧めしたい本です。
私には読みごたえのある、ページをめくるのに抵抗のない、数少ない作品でした。

本作は、
DR法という、「死ぬ権利」を認めた法律が施行されている世界。
その制度のため、「死ぬ権利」を行使する方たちの「死」の処置を行う医師。
そこに関わる人たちを描いています。

この「医師」を中心に置いたのが秀逸だったと思います。
先の参議院選挙では、「安楽死の承認」を政策に掲げる党が出てくるなど、「生きる権利」と同様に「死ぬ権利」を認めるべきとの議論も具体化されてきています。
が、まだまだ、「生きる」ことを肯定する意見が多いと思います。
しかし、自殺する人は後をたちません。
また、議論の中で「死ぬ権利」を主張する本人を中心に議論されるのはよく聞きますが、実際にその本人を「処置」する担当者についてはどうするのか、あまり聞こえてきません。
医療を語るとき、医の倫理の原点といわれてよく引用されるのが
「ピポクラテスの誓い」です。
そこでは、「頼まれても、死に導くような薬は与えない」というのがあります。
しかし主人公の医師「神恵一」はこの「医の倫理の原点」と真逆なことをしています。
「医の倫理」の根幹に贖(あがな)っているのです。
そこには、どんな倫理観が、考え方があるのか。
詳細は、本作を読んでみてください。

本作では、
そこに現在の医療問題、高齢化、補助金、報道の問題、世間の目など様々なしがらみやそれぞれの立場での思惑が表現されていて、これら問題の複雑さが登場人物など作品に厚みを与えています。

あっという間に読み終え、そのあと何かが残る。
とても読み応えのある作品でした。

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